ep32-2「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-「来るべきバカ」 ・イベントとエピソード・「ジブンゴト化」-

アワノトモキの「読書の時間」

30-01-2024 • 43分

ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)を読み、3つのキーワードをベースに話題を展開していく、2回目の放送。


1.ネガティブ・ケイパビリティと「来るべきバカ」

哲学者・千葉雅也さんの書籍「勉強の哲学 来るべきバカのために 増強版」と繋げながら、対話をスタート。


「既存のノリ」にノレなくなったとき。

それは学生が就職したときに体感する企業の論理に対する感覚かもしれませんし、フリーランスの粟野が感じている「求められるうちが花」などの紋切り型の”世間の常識”に対する違和感を持つ場面かもしれません。


そういった場面に際し、周りの大きな声に流されて自分のざわざわする声を無視するのか、それともネガティブ・ケイパビリティを意識して、1つだけに偏らない考え方をするか。


バージョン1のバカのままでいるか、バージョン2のバカになるか。どちらでもいいのかもしれませんし、もしかしたらバーション1のバカのままで思考停止している方が幸せかもしれません。


けれども、同じバカならば、複数のものの見方ができたり、バカな自分を少し距離を置いて観察できたりするバージョン2のバカでいたいな、とは思います。


2.イベントとエピソード

イベントとは、非日常的な出来事や、SNSで発信するような、内容自体は日常の出来事でも「いいね」を集める欲求を強く内包した発信。つまりアテンション・わかりやすさに重心がある状態。


一方で、エピソードは日常の取るに足らない事柄。社会学者・岸政彦さんの書籍「東京の生活史」がその象徴だと思いますが、市井の人々の取るに足らない日々の出来事や声。


これも「ハレとケ」のように、どちらも人生において大事ではあるものの、どうしても昨今は「イベント=内容を吟味しなくてよい、わかりやすい脊髄反射的なもの」がメインストリームになりすぎているように感じます。


安易に事象を判断せず、揺れながら考えるネガティブ・ケイパビリティの必要性が、だからこそ際立つように思います。


3.「ジブンゴト化」は良いことか?

学校、ビジネス、政治、そして家庭でも、自明の良きこととして捉えられている「ジブンゴト化」。


もちろんジブンゴト化に良い面もありますが、あまりにも知らないことや考えられていないことに関して拙速に距離を近づけようとし、「なにかそれっぽい意見を持とう」「積極的な行動をとにかくしなくちゃ」とジブンゴト化しようとしすぎると、「陰謀論」や「新興宗教」的なわかりやすいものに簡単に取り込まれてしまう可能性が出てきます。


ビジネス場面で言うと、会社側の指示に盲目的に従うこと、がその1つだと思います。会社と自分を一体化・癒着して捉えることは、会社/経営側からは理想的な「ジブンゴト化」ですが、そういった方向でのジブンゴト化だけで良いのでしょうか。


何かに癒着しない(ジブンゴト化しすぎない)ための対抗策として、本書では「コーポラティブ・ベンチャー」といった中間集団を持つことが提案されています。それは、宮台真司さんのいう「共同体自治」、斎藤幸平さんの「コモン」、東浩紀さんの「家族」と同じ概念だと捉えられます。


我田引水ですが、我々が神田・横みちで現在進行系で取り組んでいることは、小さな中間集団づくり。取り組みの方向性としては、とても時代の流れに合致しているのだなと、こういった論者の方々のご意見に勇気づけられます。


その他、興味深い話題として、星野さんからNetflix番組「ライトハウス」(星野源さんとオードリー・若林さんの対話)から、幸せ感にも2種類あり、「ドーパミン(ドキドキの期待感)」とセロトニン(安心・リラックス)」がある、なんていうお話もいただきました。


次回、3回目のこぼれ話の放送は、「ファシリテーションの功罪」など、星野さんのファシリテーターとしての専門的な見解も伺いながらネガティブ・ケイパビリティをまた別の側面から語っていきたいと思います。


3回目もどうぞお付き合いください。

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