#7「アンターレス さそり座への願い」

永瀬清子の世界

13-05-2024 • 4分

この詩は、永瀬さんが亡くなる2年前の1993年5月に発表し、没後直ちに出た詩集『春になればうぐいすと同じに』に収録されました。この詩に書いたお母さんのエピソードは、永瀬さんが随筆や短章に書き、講演で何度も語っている大切なエピソードのひとつです。永瀬さんは、この詩を発表した一年半後、1994年11月に井原市文学賞の選考中に倒れて入院しました。まるで自分の最期を予言するかのようです。永瀬さんは、1995年2月17日の誕生日、午前6時25分にこの世を去りました。その時の空を星図で再現すると、「アンターレス」がありました。永瀬さんの詩に登場する火星、木星、金星、月などの天体も空にあり、まるで天に帰る永瀬さんを見守るかのようでした。
<文・小林章子>