#10「イトハルカナル海ノゴトク」

永瀬清子の世界

03-06-2024 • 4分

永瀬清子さんと生前交流のあった詩人・谷川俊太郎さんは「イトハルカナル海ノゴトク」の決然とした口調に魅せられたといいます。
<谷川俊太郎さんインタビュー>
「永瀬さんとの関わりあいというのは、僕は小学生のときからなんですよ。私の父が永瀬清子さんの詩が好きで、永瀬さんの詩集を書庫に置いていたのね。で、僕が他人のものに関心を持ったときに永瀬清子の詩集があったもんだから、それで読み始めて、ほかの現代詩とちょっと違うところがあって、いいなと思ったんですよ。それが始まり」
―ちょっと違うところというのは、どういうところでしょうか。
「永瀬さんは女性としての、なんか、仕事とか生活に、なんか、なんていうのかな、離れないで詩を書いていらっしゃるから、当時の現代詩っていうのはもっとずっとみんな抽象的だったんですね。だから永瀬さんの詩がとても普通な人間の暮らしに根付いているというところが、新鮮だったわけ」