永瀬さんは、戦後間もない頃から、長島愛生園・邑久光明園・大島青松園の入所者の方々と詩を通じた交流をしていました。「貴方がたの島へ」は、永瀬さんが長島愛生園の機関誌『愛生』に発表した詩です。今年6月、この詩を朗読した俳優の竹下景子さんにうかがいました。「永瀬さんの詩は、人としての尊厳を高らかに謳い上げている。永瀬さんのその心意気にまずとても力をもらいました。同情するだけじゃないのよっていう、憐れんだりする、施しの気持ちだけじゃないのよっていう。もっと先に一緒にいこうよという強いメッセージを感じて、それはもう時代を越えて、もっといえば、いま同じように苦しんでいる人、弱い立場の人。ひと昔前は大きく男性と女性と分ければ、私たち女性もその弱いほうの立場にあって、今少しずつね、社会の中で状況が変わってきていますけど、そういった弱い立場にある人すべての人たちに向けての、これは応援歌だなと思って」<文・小林章子>