「美しい国」は終戦の翌年、昭和21年(1946年)10月に発表されました。永瀬さんは、終戦の翌年から次々と詩集を出版し、この「美しい国」を表題作とした詩集『美しい国』を、昭和23年(1948年)に出版しています。永瀬さんは「国や性別を超えて幅広い世代の人に届けたいという思い」を持っていました。そこで、英訳しても美しさがでるような詩を意識していたようです。永瀬さんの次女の井上奈緒さんは、「母が詩をつくるときには、『いつも英文に訳しやすいようにフレーズを考えているのよ』と話していた」と証言しています。この証言を受けて詩人の井坂洋子さんは、曖昧な表現ではなく目にみえるように具体的な言葉で書いていたとことを指摘しています。永瀬さんの詩の魅力は、こうした書き方にもあるということがわかります(文 白根直子さん)