#18 「星座の娘」

永瀬清子の世界

29-07-2024 • 3分

永瀬さんが生きた時代は、女性の幸せは結婚で「良妻賢母」であることが世の中に認められる生き方でした。そして、永瀬さんは家を継がなければなりませんでした。永瀬さんにとって、詩人という生き方は、女学校を卒業したらすぐに結婚させたいと考える両親の愛情に反することになり、自分の理想と現実に引き裂かれるような思いでした。永瀬さんを研究する学芸員、白根直子さんは「星座の娘にある複雑な思いは、晩年の永瀬さんならばもう少しやわらかい言葉や表現で書いたはずで、全体的に少し硬い言葉や表現は娘時代の永瀬さんでなければ書けない。そういうところも初期の詩の魅力だ」と話しています。<文・小林章子>