詩「冬」は、初冬の新田山(しんでんやま)を題材にした詩です。冬枯れていく山の色を「鳶色」と「エメラルドグリーン」の「美しい縞」と表現し、さらにその山を「私の衿巻になりそうだ」と、たとえたことにはっとさせられます。永瀬さんには、山の落葉樹と常緑樹がこのように見えているのです。そんな「美しい縞」の山を衿巻にしようと思う「私」の発想の大きさも感じられます。新田山は、永瀬さんの生家から見えるので、毎日の微妙な変化も感じ取っていたと思われます。季節の移りは、永瀬さんの詩心を大いにかきたてるものだったのでしょう。