今回はキーワード「せめて100年つづくように」を軸に、お話をしてまいります。そもそも皆川さんがこの取り組みを始める際にA4用紙に書いて張ったという言葉です。我々にとって100年という単位はとても長い期間に見えますが、そこに「せめて」とつけている皆川さん。次々と新しい流行をつくっては消費していく業界へのアンチテーゼだったのでしょうか。
初期は「ミナ(私)」というブランド名でTシャツをつくるところからスタートし、営業も展示会の運営もすべてご自身で担当し、とは言え売り上げは一向に上がらず。八王子の魚市場で働きながらの立ち上げ時期だったそうです。自分の車に洋服を積んで東北や大阪に行っての飛び込み営業も、成果は上がらず。ヨーロッパ遠征にも行かれています。
目に見える成果が出ない中でもコツコツと続けられるモチベーションの源泉が気になった星野。粟野さんの話してくれる中からこれは営業ではなく、布教なのではないかと感じました。市場の動向やお客様のニーズに一切とらわれず、自分たちが信じた道を自分たちの時間軸で一歩ずつ進んでいく。その姿勢におそらく皆さん惹かれていくのでしょう。
また、100年という単位を本気で目指すと、自分一人だけでは実現できない。想いを他の人にタスキをつなぐように渡していかないといけません。しかも、受け渡しの期間にスピードを落とすことなく。そう考え「いつか自分は閉じなきゃいけない」と皆川さんは書いています。ミナペルホネンの代表をおり、次の世代へと受け継いでいく。代表だけでなく、縫製を依頼している先の職人さんや会社などのことも考えながら。
縫製のプロが、ミナペルホネンの服をほどき解説していくYoutubeを粟野さんが見たようです。そこでも、縫製技術が絶賛されていたとのこと。あるべき姿を見据え、そのために必要な要素を仲間とともにつくりあげていく。一見志を追い続ける男くさい印象を持ちますが、粟野さんが皆川さんに感じた印象は「自然体」だったそうです。だからこそ、女性からの支持を受け続けているのかもしれません。
次回は、2つ目のキーワード「スタイル」について、お話していきます。