第52回|【質問】身体疾患の場合の対応/健診の法定外項目の取り扱い/家族との連絡の取り方

復職名人が読む三手先

18-06-2024 • 1時間 2分

今回も質問箱に寄せられた質問について、回答しました。皆さまからのご質問もお待ちしております。

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■雑談

  • 高尾 飲みたかったワインを現地では満足に飲むことができませんでしたが、岡山の馴染みの店に普通に置いてありました。まさに灯台下暗し。
  • 前園 Apple Pencilが過放電になりました
  • 森 この1ヶ月で46回〜51回と、自由集会2本を公開しました。

■質問1
企業で復職に携わっております。精神疾患の復職手順や基準は、判例も踏まえて見解が固まってきたかと思います。これに対し、身体疾患の場合はいかがでしょうか?ネット等で検索しても、「メンタル不調者の復職」の記事はあれど、身体疾患についてはあまり言及がありません。個人的には、結局、労使の間に結ばれた労働契約に照らすという点では、精神疾患も身体疾患も、復職の判定基準としては変わらないのではないかと思うのですが…社内には、精神疾患は産業医にも意見を聞きつつ慎重に、身体疾患は主治医の診断書で復職可(本調子ではないから半日勤務しかできなくとも、それで復職可)という意見があり、それでいいものかなと首を傾げております。

  • 基本的には、身体疾患もメンタルヘルス不調と変わらずに対応する
  • 従来型のフィジカル(怪我など)は職場にもわかりやすく対応に困っていなかった。近年の両立支援が必要な身体疾患は、メンタルヘルス不調同様に、対応が難しくなるかもしれない
  • なぜメンタルヘルス不調者の対応に苦慮するのか。それは職場が悪い学習をさせた側面がある。となると、両立支援も同様の難渋事例が生じる可能性があり、注意が必要である
  • 精神疾患の復職手順や基準は、判例も踏まえて見解が固まってきただろうか?
  • 特定の疾患を対象とした優遇措置は、裏を返せば他の疾患への差別であり、あまりお勧めしない

■質問2
法定外の健診 (胃バリウムや腹部エコーなど)を健保の補助で受診可能なのですが、健診結果を会社に開示する同意が得られない場合は、費用補助しないと言われました。出来れば、検査結果は本人にのみ返却し、本人からの相談には対応という形にしたいのですが、上手く健保を説得する方法はないでしょうか?

  • 背景は、健保として受けっぱなしを防ぐために、産業医からも精検・再検への受診勧奨をしてほしい、というもの
  • 健康情報取扱規定を考えれば、本人抜きでこうした議論が行われていること自体、前近代的
  • 法定外項目の「検査結果は本人にのみ返却し、本人からの相談には対応という形」は私たちもお勧めしている方法である

■質問3
【法定外の健診】さんに引き続いて…結局、法定外項目もぜーんぶ会社に集まってしまうのですが、うちは法定項目のハイリスクしか受診勧奨してないので、がん検診とかでひっかかってる社員に受診勧奨してないのが非常に気になる産業医が「わたしには結果が見えないようにしてほしい!」と言われます…見えたら全員すべき!というお考えのようで…会社は健診機関じゃないので、目的がちがうのにな、と思いますが、健診機関に法定だけ結果ください、もなかなか難しいです。また、産業医がおっしゃるように、受診勧奨を絞って、法定だけやるのは間違いなのでしょうか。

  • 安全配慮義務上、不必要な情報を会社が知っていると、予見可能性を高めることになりかねない
  • 従業員自身の自律的な健康管理が必要なのだと思うが、親代わりの健康管理体制はいつまで経っても変わらない
  • 産業医としての苦悩もわかるので、「産業医が結果を見たまま放置していた」とならないように、事業者に対して適切な対応を指示しておく

■質問4
独身の社員のメンタル不調について家族に伝えたい(社宅住まいの場合は実家で療養するよう話をしたい)のですが、その社員が家族と疎遠だったり、実家には兄弟家族が同居しているため実家での療養が難しかったりで、対応に困るケースに遭遇することがあります。このような場合、どのようなアプローチが考えられるかご教示いただけますと幸いです。

  • 家族の誰を呼ぶかは本人に委ねる
  • 家庭内の状況については、会社から色々と考えすぎない(邪推して、先回りした配慮をしすぎ)。家族に任せる
  • 家族への連絡について、本人が拒否することがあるが、後で一悶着あるかもしれないが、今の困った状況を解消するためには、連絡は絶対にすべきである。連絡を取ることを前提に対応を考えれば、その方法はいくらでも思いつくだろう
  • そもそも「私傷病により療養している」という事実そのものは、職場の人は誰しもが知っているのだから、個人情報に当たらないのではないか。