遊園地の幽霊(ゴースト)

水のないプールには 枯葉の波が立つ

心が透けないように 鉛色のコートを買った君 セーターを脱げば 夏の記憶がまだ 水着の形をしているのに

頬のペンキが剥げた回転木馬は なんだか泣いているみたいだ

脈絡のない言葉 抑揚のない時間 執着のない疑問 目的のない視線 やがて君を遠くで眺めたとき 点描写されたサヨナラだったと 気づかせるためのものたち

花火の夜 錆びついた観覧車が サークルの天辺で故障していたら

君を抱いて僕は 星空を飛べたと思う 滓(カス)になった情熱は 散らばるポップコーンも踏み潰せないくせに

閉園まぎわの遊園地 僕は亡霊(ゴースト)とKissをする 僕が愛した君は この世界にはいないことを もう一度だけ 確かめるために


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/

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