二月の文学

やがて雨が雪に変わると あなたは睫毛を街燈に向け微笑む またひとつ 世界の秘密を見つけたように

そんなとき私は 空気として吸い込んでいた言葉が 感情の輪郭を現すのに気づく あわく いびつに ずっしりと それは二月の 文学 物語が舗道に降り積もる

そうだったものをそうだと言い直したり 見えないものをあると言い切ったり 言葉にならなかったものを やはり言葉にできなかったり

いつしか私は 二月の文学にとじこめられる 凍った唇への驚きと共に

千あるものを一文字で言いくるめたり 一つしかないものを千の比喩で言い落したり 言葉にならなかったものを もう一度言葉にしようとして 私はまだここにいるのだろう あなたと この世に この夜の隅に


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/

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