ひとりになるため誰かを愛して <江國香織×森雪之丞「扉のかたちをした闇」朗読会ライブ音源>

森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』

01-07-2024 • 1分

ひとりになるため誰かを愛して

人生が果てない旅だと感じるのは 到達点に“はじまり”とルビを振ってみせた 迷惑な詩人のせいだろう あるいは一本の紙テープだった道筋を 糊で貼りつけ輪っかにしてしま った 幼子(おさなご)の仕業かも知れない

祝祭のある広場にたどり着き 私は恋をする 人いきれに酔い 言葉を応酬し 情熱の灰汁(あく)にまみれた指先で 未来への搭乗券を手渡しあう だがその後 私は猛烈に孤独が恋しくなる 群れを抜け出せばいつも砂漠の空 心を映して月は今宵も さめざめと泣いてくれているのだ

私はまたひとりになるために 誰かを愛してしまったのだろうか?

“終わりを失くした始まり”ばかりが 土産物(スーベニール)のように旅行鞄を埋めてゆく人生 それにしても機上のレモンティは どうしてこんなに熱いのだろう 冷めるのを待つ数分だけが 至福の休息だと言わんばかりに

1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/

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