『海の向う』北原白秋
さんごじゆの花が咲いたら、
咲いたらといつか思つた、
さんごじゆの花が咲いたよ。
あの島へ漕いで行けたら、
行けたらといつか思つた、
その島にけふは来てるよ。
あの白帆どこへゆくだろ、
あの小鳥どこへゆくだろ、
あの空はどこになるだろ。
行きたいな、あんな遠くへ、
あの海の空の向うへ、
今度こそ遠く行かうよ。
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夜の帳がおりる頃、
しじまにまたたく星のささやき。
光年の孤独の叫びを、夜風が柔らかく溶かす。
今宵 ひっそりと夜ふかし。