Q:店長です。日勤スタッフのAさんとBさんの仲が悪くなり、会うたびに言い合いになるため、お客様や周りへの影響を避けるべく出勤日を分けることにしました。しかし、その話を両名にすると、「なんで私が(シフトを)移動しなければならないんですか?あっちが動けばいいじゃないですか」と譲りません。気づけば、周りを巻き込む大きなトラブルに発展していました。こういう場合、どう対応していけばいいのでしょうか…。
A:小手先の解決策では解決しない問題です。まずは早期解決をはかるために、Aさん、Bさんの状況をヒアリングし、本当の原因を見つけましょう。
こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/
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<解説>
コンビニエンスストアは、複数人の力の結集で運営されています。完全な家族経営でない限り第三者が集まる空間ですから、中にはどうしても相性が合わない、という人間関係も出てくるでしょう。今回は、そうした場合の対応方法について見ていきましょう。
まず、これを「対岸の火事」と思わないことが重要です。多くの他人が一緒に働いているので、「ウチはそんなケンカなんてないよ、大丈夫だよ」「みんな仲がいいから心配ないよ」と思っていても、知らないうちに関係のほころびが生まれていることもあります。もちろん、不仲が起こらないように、採用の際に既存スタッフとの相性を配慮したり、普段からコミュニケーションをしっかり取っておく、店舗の目標や方向性を伝えたりするアクションも大事です。しかしここでは、実際に不仲の現象が起こった場合の対応を考えていきます。
【不仲が発生した際の対応のポイント】
①放置しない
スタッフ同士の関係性が悪化していると気づいたら、放置せずにまずAさん、Bさんお互いの話を聞くことからスタートしましょう。初動が遅れると、その分トラブルも悪化しやすくなります。
②「なぜ?」「どうして?」という聞き方はタブー
AさんやBさんから事情を聞く時に、使ってはいけない言葉があります。それは「なぜ?」「どうして?」、英語でいうと「Why?」です。例えばAさんに対し、「どうしてBさんにそういう言い方をしたのかな?」という質問をした際、Aさんは責められているように感じるからです。また、それに対しAさんが言い訳を始めてしまう可能性もあります。
もちろん、受け取り方はそれぞれですが、少しでもその可能性を減らすために、「Why?」ではなく「What?」で質問をするといいでしょう。「Bさんにそう言おうと思った理由は何ですか?」と言うことで、Aさんの本当の理由を導き出しやすくなります。
また、初めからマイナスの話をすると、お互いの気分もあまりいいものではありません。最初に、いつも仕事をしてくれていることへの感謝や労いの言葉からスタートしましょう。もし、スーパーバイザーや他の人が仮にAさんを褒めていたことがあったとしたら、「この前、スーパーバイザーの◯◯さんがAさんのことをすごくしっかりとお客様対応していたと褒めていたよ」というように、第三者の評価を伝えることも良いでしょう。
③安易に小手先の解決策で手を打たない
質問のように、「では、2人を会わせないのが一番!シフトを動かそう」とか「クビにしよう!」などと、経営者や責任者の都合で安易に解決をはかろうとしないことも重要です。不仲の問題は、きっかけはあるにせよ、原因を追求するのは難しいものです。AさんもBさんも、どちらも自分は悪くないと思っている場合に、どちらかが不利益を被る形となると、そこから二次トラブルに発展する恐れがあります。
労働条件の不利益変更を伴う場合は、合理的な理由が客観的に必要です。例えば、AさんとBさんのトラブルは明らかにAさん一方に否があって、ヒアリングの結果、Aさんも反省し、なんとか解決したいと考えている場合や、お互いがシフトを移動させても続けていきたいという合意が取れた場合でなければ難しいでしょう。これも、いきなり提案するから質問のようにこじれてしまうのです。
もしかしたら、他にもいくつか方法があるかもしれません。例えば、AさんとBさんの仲を取り持ち、互いの意見をしっかりと聞き入れ、仕事に反映できそうであれば、それをルールとして設定することもできるでしょう。
最悪のケースはAさん、Bさんのどちらか、あるいは両方が辞めてしまうことです。また、辞めさせるとなる場合も店舗と本人の双方にわだかまりが残る形となってしまうため、時間をある程度費やしてでも、確実に対応することを検討してください。
【まとめ】
相性という避けようのない課題もありますが、人間関係の悪化に対する対応や対策は、法律論というよりは、コミュニケーションや仕組みの改善で快方へ向かう場合も多くあります。最もよくないのは、経営者や責任者が、我関せず、と問題を放置してしまうこと。最初は当人たちの問題であっても、いつの間にか店舗や企業全体に責任が及んでいることもあるので、火種の小さい早期に対応しましょう。