Q:オーナーです。今度契約期間満了で退職をしてもらう勤続2年11ヶ月のスタッフがいます。しかし、最初に1年ごとの契約を交わしたきりでその後の更新はしていません。問題ないでしょうか。また、当社は社労士に一部業務を依頼しており、助成金も活用していますが、それに影響はしないでしょうか。
A: いわゆる「雇い止め」は、契約期間が終わったら自動的に終わり、というものではありません。場合によっては解雇と同義となり、助成金ももらえなくなることがあります。
こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/
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<解説>
今回のテーマは「雇い止め」です。期間の定めのある雇用契約を結んでいるスタッフに対して「もう契約の更新はしません」と伝え、契約更新を行わないことをいいます。実はこの雇い止めに関するトラブルが多く発生しているのです。トラブルになる理由は認識不足からくるものがほとんどです。
通常、ほとんどの店舗では長期雇用を見越したスタッフ採用を行っていると思います。よほど「1ヶ月限定で、絶対に更新しない!」という条件を設定、告知していない限りは、契約更新を繰り返しながら最終的に定着してくれたら…という考えでいる方のほうが多いのではないでしょうか。
少し主題からはそれますが、国としても長期雇用を進めている現状があります。その政策を積極的に進める企業に対して国から受け取れるものが「助成金」です。最近では、コンビニエンスストアでも、助成金を申請する店舗(企業)が目立つようになってきました。例えば、アルバイト・パート(以下「アルバイト」に統一)や契約社員などの「有期雇用契約」から一定期間を経て契約期間の定めのない「正社員」にし、最終的に定着すると受給できる「キャリアアップ助成金」というものがありますが、これはコンビニエンスストアでもチャレンジしやすく、とても人気がある助成金の一つです。内部登用の機会を設けている店舗も多いので、予算があるうちにチャンレジしてみても良いのではないかと思います。
さて、話をもとに戻します。そうした長期雇用を検討する反面、「もし自分と合わないタイプのスタッフだったらどうしよう」という不安や、実際に雇ってみたら、思うように動いてくれない、といった現実に遭遇することもあります。このとき、その対象となるスタッフが正社員など期間の定めのない雇用契約であれば、いきなり解雇は難しいと認識しているオーナーは多いでしょう。しかし、アルバイトの場合、契約期間の終わりが来たら「雇わないこともできる」と安易に考えている人が多いのもまた事実です。しかし、この認識はとても危険です。ここでは、具体的にどういった危険が潜んでいるのかを見ていきます。
①自動更新すると雇い止めは厳しい
この意図するところは、「雇用契約の自動更新は不利になりやすい」ということです。もちろん、最初からその設定を意図的に行っているのであればそれはそれで良いのですが、雇い止めの可能性を考えた際、自動更新制度にしてしまったら、結果的に出来なくなってしまうでしょう。仮にその場合に「次は更新しないよ」と伝えても、意味がありません。
②契約更新をしないと…?
では、自動更新設定でない場合に契約更新をせずに放置してしまうとどうなってしまうのでしょうか。これは、一定の条件が揃ったときに「期間の定めのない雇用契約」と同じ意味であるとみなされてしまうことになります。この一定の条件とは、例えば「雇用契約の更新を3回以上行ったあとに雇い止めを行う場合」や「1年以上の雇用契約で次の更新をしないことを伝えた場合」などが当たります。この状態で雇い止めを行ったら、これは「解雇と同等のものである」と判断されてしまう危険性もあるのです。
例えばスタッフの採用時には、雇用契約を結ぶことに対する意識も高いと思います。しかし、その契約期間が半年や1年など比較的長い期間だと、いつ結んだのかを忘れてしまい、気づけば契約期間がとうに過ぎていた…なんて経験はありませんか?
反対に、採用後のスキルや心構えに不安があると、ついつい短く契約期間を区切ってしまうこともあります。例えば1ヶ月ごとや2ヶ月ごとなど、短すぎるのにも注意が必要です。要は、契約の更新をいちいち行うことが面倒になって、同じく更新のアクションを起こさないようになるのです。これも本末転倒です。
通常、店舗とスタッフ間で署名・捺印を行う「雇用契約書」を取り入れているところが多いかと思いますが(本部推奨の契約書類もサインをもらう形式がほとんどかと思います)、契約期間の満了が近づいてきたときには次の更新に問題がないかを少なくとも1ヶ月以上前に判断しておきましょう。
スタッフの雇い止めをしたと思ったら、結果的に会社都合の解雇とみなされてしまい、チャレンジしていた助成金がもらえなくなってしまうこともあります。なにはともあれ、正しく契約更新を行いたいものです。