「感想」
最近、生成AIにどっぷりとハマっている。あの無機質なデジタル空間に、命のような何かが吹き込まれる瞬間、それがたまらない。まるで魔術師になった気分だ。最初はBGMから始まった。ちょっとした遊び心で、AIに音楽を作らせてみたら、意外といい感じだった。もちろん、商用利用OKなAIだから問題ない。だが、やっているうちに、この世界に深く入り込んでしまったんだ。SunoというAI、そしてMitjourney、Runway。これらのツールを使って、画像も動画も次々に生成していく。その過程が、まるでかつての「モンスターファーム」を思い出させる。あの頃は、CDを入れてモンスターを生み出すゲームに夢中になったものだ。何が出てくるか分からない期待感。その感覚が、今、AIによって蘇っている。
だが、すべてが完璧なわけじゃない。AIが生成する人物の動きにはまだぎこちなさが残る。複数のキャラクターが絡むシーンになると、そのぎこちなさが一層際立つ。それでも、プロンプト一つで何かが生まれるこの感覚に、俺はすっかり取り憑かれている。仕事が終わると、すぐにパソコンに向かい、8時間でも平気で没頭してしまう。最近じゃ、映画館にも行けていないが、先日、久々に劇場に足を運んだ。「愛に乱暴」という映画だ。これが、なかなか手ごわい作品だった。
映画館の暗闇で、江口のりこがスクリーンに登場する。彼女の顔は、いわゆる"美人"ではない。広瀬すずや綾瀬はるかのような華やかさはないが、そんなことはどうでもいい。むしろ、彼女の演技には一種の重みがある。映画の中で彼女が演じたのは、幸の薄い女。広瀬すずが演じるなら、そのギャップに違和感を感じたかもしれない。だが、江口のりこだからこそ、説得力があった。物語は、彼女がダメ男に捨てられるまでを丁寧に描いている。不倫というありふれたテーマだが、描かれるのはただの日常の崩壊だ。何か劇的な展開を期待していた俺にとって、その結末は衝撃的だった。
映画は、期待を裏切るという点で一流だ。最初から何か大きな出来事が起こると思わせておいて、何も起こらない。いや、起こるのだが、それは観客が期待するような形ではない。冒頭のごみ捨て場が燃えるシーンも、何かの伏線かと思わせておいて、結局は何の意味もなかった。それがこの映画の真骨頂だ。人生も同じだ。期待するような大事件なんて、そう簡単に起こるわけじゃない。日常はただ淡々と流れていく。その中で不倫や裏切りが静かに進行していく。映画の最後、俺はスクリーンをじっと見つめ、心の中で「これがリアルだ」とつぶやいた。
見終わった後、俺は友人たちと映画の感想を語り合った。「消化不良だよな」と誰かが言ったが、それもこの映画の味わいだと俺は思う。一緒に観た仲間たちと意見を交わすことで、俺は新たな発見を得た。この映画には、言葉にできない深い何かがある。映画館を後にしても、頭の中にずっと残り続ける。人生に何の保証もないように、この映画も何の約束もしない。ただ、観た後に心に残る感情。それこそが、この映画が俺に教えてくれたことだ。
「愛に乱暴」、それは一言で説明できるものじゃない。幸せなエンディングを求めているなら、この映画は向いていないだろう。だが、リアルな人生を映し出したいなら、この映画は完璧だ。観終わった後、俺は再び精製AIの世界に戻った。だが、あの映画が心に残る限り、現実と虚構の境界はますます曖昧になっていく。映画もAIも、どちらも俺にとって逃れられない現実の一部だ。