医学カタラーゼ

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医学・歯学情報、医学生・歯学生のための勉強法、一般入試・医学編入の勉強のやり方、面接の参考情報、ドクターインタビューを医歯学生に限らず、学生全般、医療関係者などに紹介していくポッドキャストです。 海外の在住の日本人・外国人方にも役にたつ、日本の医学部システムや入学システムについても紹介していきます。 read less
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エピソード

エピソード87: 腹部コンパートメント症候群
05-10-2024
エピソード87: 腹部コンパートメント症候群
118C-68 次の文を読み、66~68の問いに答えよ。 61歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。 現病歴:乗用車で走行中に塀に衝突し腹部を強打し動けない状態だった。シートベルトを装着しておりエアバッグが作動していた。目撃者が救急車を要請した。 既往歴:虚血性心疾患で抗血小板薬を服用している。 生活歴:飲酒は機会飲酒。 家族歴:父と兄が高血圧症で治療中である。 現 症:意識は清明。身長162cm、体重54kg。体温37.0℃。心拍数112/分、整。血圧80/44mmHg。呼吸数26/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。皮膚は四肢に冷汗と湿潤を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満しており、肝・脾を触知しない。腸雑音は減弱している。 検査所見:血液所見:赤血球410万、Hb 10.1g/dL、Ht 40%、白血球10,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 65U/L、ALT 34U/L、LD 177U/L(基準124~222)、ALP 55U/L(基準38~113)、γ-GT 32U/L(基準13~64)、アミラーゼ130U/L(基準44~132)、CK 382U/L(基準59~248)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸6.2mg/dL、血糖228mg/dL、HbA1c 5.8%(基準4.9~6.0)、Na 142mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。 その後、頭頸部単純CTでは異常を認めなかった。胸腹部造影CTでは脾臓損傷、脾臓内および周囲の造影剤血管外漏出像、腹腔内遊離ガス及び腹腔内液体貯留を認めた。気管挿管を行い、緊急手術を予定した。 小腸、腸間膜および脾臓の損傷に対して小腸切除と脾臓摘出を行った。小腸は浮腫が認められたが、閉腹は可能であった。ICU入室後、心拍数68/分、血圧132/76mmHgまで改善した。動脈血ガス分析(調節呼吸、FIO2 0.3)はpH 7.40、PaCO2 35Torr、PaO2 180Torr、HCO3- 21mEq/L、BE-6mEq/Lであった。 この段階で腹部コンパートメント症候群を評価するために腹腔内圧をモニターする際、最も有用な測定部位はどれか。 a 胸 腔 b 食 道 c 頭蓋内 d 動脈内 e 膀 胱