第59回|月経困難症と生理休暇

復職名人が読む三手先

07-10-2024 • 1時間 35分

今回は、産婦人科医で産業医もされている上松先生をゲストに招き、月経困難症と生理休暇について議論しました。

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■雑談

■上松先生のプロフィール

  • 2003年医師免許取得。以降産婦人科で勤務
  • 2019年岡山大学産業医研修会受講
  • 現在は神戸近辺で10社くらい産業医活動を実施

■月経困難症と生理休暇

  • ある女性社員の問題です。毎月数日の生理休暇及び体調不良により有給休暇の取得があり、月に4、5日休んでいる状態です。本人に確認するとメンタルヘルス不調ではないようです。女性特有の症状で指摘しにくいのですが、どのようにアプローチすればよいのでしょうか。
  • 生理休暇を適切に取得していないと思われるケース、具体的には翌月の予約をする、毎回土日などにつなげて取るなどの女性社員が一定数いて、どのように対応したらいいか、頭が悩ませているという事例があります。
  • 裁判上は、「生理休暇の不正取得」というキーワードが上がってくるが、これは裁判というかなり限られた話でもある
  • (昭和60年の労基法改正における議論を踏まえて)「国家公務員についても、生理日の就業が著しく困難な場合をどのように取り扱うか検討されたが、生理日における下腹痛、腰痛、頭痛等の強度の苦痛により、就業困難な場合は医学的にも月経困難症の範ちゅうに属し、疾患の一つと考えられるところから(中略)病気休暇として取り扱うものとしている」ー公務員の勤務時間・休暇法詳解(第5次改訂版)
  • 前提として、「本当に必要な人が生理休暇を適切に利用できて、一方で不正取得はできるだけ防ぐ」という方向で議論をする。後者だけにとらわれない
  • ママブロック。親世代の価値観が、適切な治療の妨げになっている。全社員向け教育は最初の一歩
  • 月経困難症が重い場合、生理を年に3〜4回にまで抑えるような治療(低用量ピルの処方)も可能
  • 生理休暇とは別に、治療費補助をする方向性は考えられるか
  • 低用量ピルの副作用、産婦人科産業医として治療をどこまで強く勧めるか
  • 職場の健康管理施策と、職域という場を活用した健康管理施策
  • 生理休暇制定当時と今の状況は大きく異なる。「労基法制定当時も、生理休暇を法制化するにあたって労務法制審議会の委員の間でも激しい応酬があったように聞いているが、一説には、GHQがアメリカになかった生理休暇の法制化に理解を示した原因は、終戦後の日本の便所を含めた衛生設備と衛生用品の劣悪さにあったとするものがある(ジュリスト増刊『労働法の争点』「120生理休暇」林弘子、二八二頁)」ー地方公務員の<新>勤務時間・休日・休暇(第3次改訂版)
  • 生理休暇を取得した時点で、産業保健職から適切な治療(少なくともスクリーニング目的の受診)を勧めるようにしてはどうか。その際に、生理休暇の制度の趣旨について、説明するのはどうか
  • 「生理の周期はほぼ一定ではあるけれども、その取得方法において、必ず週休日に接続して請求されている場合や著しく周期が不規則である場合等で、そこに作為が感ぜられる場合は、本人に生理休暇の意義・趣旨を徹底させる措置をとるなり、本人の健康管理の意味も含めて医師の診断を受ける措置をとるよう指導することは差支えない」ー地方公務員の<新>勤務時間・休日・休暇(第3次改訂版)
  • 生理で就労は著しく困難だが、在宅勤務なら可能、という状況はあり得るか
  • 生理に対するタブー意識とセクハラ問題
  • 「生理痛を我慢するメリットって何にもないんで、多少痛かったら、痛み止めで治まらないようであれば、ピルとか使った方がいいと僕らは思ってるんです」
  • 皆勤制度は今後も維持すべきか。健康である状態を頑張って維持したことに対する褒賞について
  • 就労困難や生産性低下という事象に対して、上司から休業を命じる対応を取れるようにする