ep22-3 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

アワノトモキの「読書の時間」

17-03-2023 • 13分

これまで「ハッピークラシー」を扱ってきましたが、いよいよ締めの第三回です。
今回は、前回までを振り返り、気になることをこぼれ話としてお話していきます。

◎社会正義とは何か?
第二回で出てきた「社会正義」という言葉に対して、気になることがあり少し話しました。
Wikipediaでは、「社会の常識から考えて正しい道理のこと」と書かれています。
ただし、今や多様性の時代ですし、それこそ正義は人の数だけあるとも言えます。
そんな中で、社会の正義をどう定めるのかが気になりました。

おそらく、それぞれが自分にとって、自分を取り巻く様々なコミュニティにとっての正義を考え続けるべき、ということなんでしょうね。
以前宮台さんの回でも話されていたように、小さい社会から再構築していき、コミュニティとしての合意を積み重ねていくしかないのかもしれません。
我々も、そうした社会技術を身に付けていかねば、ですね。

◎日本の幸福学第一人者、前野隆司さんの本を読んでみた。
ハッピークラシーの考え方に触れた後、日本の幸福学の第一人者とされる前野雄二さんの本を読んだようです。
結論、ハッピークラシー的な観点から言うと、読んじゃダメな本。
前野さんが今の方向性で活動すればするほど、日本のハッピークラシー化は進んでいく可能性が高そうです。
かと言って、個人が幸福を求めていく姿勢は誰にも否定できません。
ただ、その結果個人の幸福が実現されるとは限らない訳です。

自分にばかり目を向けるのではなく、自分を含めたコミュニティを含めた視点で幸せ追求をすることが、ポイントなのではないでしょうか。
その過程で世界も、価値観も広がっていきます。
中島岳志さんの「思いがけず利他」でも話していたことと重なります。

◎岡本太郎展に行って感じたこと。
こちらも以前の回で扱った「岡本太郎展に粟野さんが行かれたそうです。
そもそも岡本太郎さんは、自身を幸福反対論者だと言っています。
「幸福」ではなく、「歓喜」「享楽」を求めていたようです。
居心地の良さや自分らしさの実現ではなく、リスクを伴い、限界ギリギリまでいのちを使い切る感覚。
実際に作品を見ると、そうした感覚が伝わって来たようです。
こうした視点も大切にしながら生きることで、ハッピークラシーに陥ることを防げるのかもしれません。

以上、3回にわたり「ハッピークラシー」をご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!

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