日本のAppleを探して投資できる株式型クラウドファンディング

REINAの「マネーのとびら」(日経電子版マネーのまなび)

18-05-2022 • 25分

日経電子版「マネーのまなび」のPodcastです。アメリカ出身タレントのREINAさんがリスナーと一緒にお金のイロハを学んでいきます。解説は日経マネー発行人の大口克人です。

今回のテーマは「株式型クラウドファンディングとは」です。アメリカには世界中からリスクマネーが集まり、その中からイノベーションを生む企業が続々と出てきています。企業価値10億ドル以上のユニコーン企業はその好例です。一方、日本ではベンチャー企業やスタートアップにお金が回らないために育たず、結果として経済全体にも活気がないまま、という問題があります。この流れを変えてくれそうなのが今回紹介する「株式投資型クラウドファンディング」(以下、株式型)なのです。

これは2015年の金融商品取引法の改正で実現した新しい金融商品です。個人投資家は創業間もないベンチャー企業に対して「1社当たり50万円」を上限に出資でき、ベンチャー企業の方は「1年間で1億円未満」を上限に資金調達できる仕組みで、両者をマッチングするのが「FUNDINNO」や「イークラウド」のような会社です。タイムマシンがもしあれば1970年代のアメリカに行ってAppleに出資したいものですが(今日ではAppleの時価総額は1社でイタリアの国内総生産に匹敵)、これまで個人はベンチャー投資には参加できませんでした。しかしこの仕組みを使えば今から日本のApple、次のテスラを探して小口で投資できるわけです。

個人にとっては好きな企業に直接出資して応援できるのが最大のメリットですが、3〜10年など長い時間をかけて見守って、将来その企業がIPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)といったエグジット(出口)までたどり着ければ、大きな経済的リターンも期待できます。番組収録時には「業界全体でエグジットの事例がまだほとんどなく、リターンの実例が示せない」と話していますが、収録後の5月18日にはイークラウドの案件でついにM&Aが成立しました。投資から約9カ月で個人投資家に2.69倍のリターンが発生したということで、この期間の短さも驚きです。

株式型クラウドファンディングは投資に際して「エンジェル税制」の優遇を受けられるのもメリットです。一方、注意点もあります。ベンチャー投資ですので投資した企業が潰れる可能性もあり、その場合は全損となり資金は返ってきません。また上場していないので流動性もなく、途中換金もできません。番組ではその辺をしっかり踏まえつつ、この新しい商品の魅力と可能性を探りました。

番組後半の人気コーナー「American Money Life」のテーマは「日米の方言、よもやま話」。昔は日本にも方言コンプレックスという言葉がありましたが、今はYouTubeを見ても方言コンテンツが花盛り。「方言を取り入れたラップや歌謡曲もある」(大口)といった状況です。REINAさんもアメリカでの方言のイメージ、発音でだいたい出身地が分かる話などを教えてくれ、面白い文化比較になりました。有名なボストンなまりをREINAさんが実演してくれているのも一聴の価値ありです。