株主総会のバーチャル化が進む バフェット氏はリアルにこだわり

REINAの「マネーのとびら」(日経電子版マネーのまなび)

22-06-2022 • 23分

日経電子版「マネーのまなび」のPodcastです。アメリカ出身タレントのREINAさんがリスナーと一緒にお金のイロハを学んでいきます。解説は日経ヴェリタス編集長の塚本奈津美です。

今回のテーマは「株主総会」です。6月下旬にかけて3月期決算企業の株主総会が開かれます。個人投資家にとっては配当や株主優待などが決まる重要イベントですが、2022年はコロナ禍を経て総会にも大きな変化が起きています。例年、この時期は個人株主のもとに上場企業から「株主総会招集通知」と「議決権行使書」が送られてきます。配当を含む利益処分の議案や、社長・会長といったトップ人事の議案に賛否を付けて送り返します。最近はインターネットでも議決権の行使ができるところが増えました。

変化その1は、日本でもオンラインのみの「バーチャル株主総会」が開けるようになったことです。アメリカの株主総会は約98%がオンラインで、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイのようにリアル開催にこだわる会社はニュースになるほどです。ただ日本ではバーチャルのみの企業はまだ少数派で、6月中旬時点で400社程度がオンラインとリアルの併催を予定しています。一方で機関投資家には「バーチャル総会だけだと株主の権利が侵害されるようなことが起きるのではないか」と懸念する声もあり、企業と株主にとって、より良い総会のスタイルを探る試行錯誤が続きそうです。

もう一つの変化は「株主提案が過去最多になりそう」という点です。株主還元の要求にとどまらず、今年は「脱炭素を巡る具体的な行動」を問う動きも広がっています。担い手も、アクティビストと呼ばれる「物言う株主」に続き、年金基金や環境団体、非政府組織(NGO)といった広がりを見せています。株主として企業にESG(環境・社会・企業統治)重視の行動を迫るのは良い手ですが、一方ではロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー供給が不安定になりつつあり、安全保障や事業の継続性と併せて考えなければならないのが難しい点です。

後半の人気コーナー「American Money Life」では、日本ではそろそろ支給開始の「ボーナス」につき、日米の違いを話し合いました。年2回支給が多い日本とは違い、REINAさんは「アメリカではボーナスはない方が一般的。あるとしても幹部クラスで年1回など、働き方や業種によって大きく変わる」と教えてくれました。日本のクレジットカードではおなじみの「ボーナス一括払い」もアメリカでは使えないそうです。一方、アメリカで消費者が最もお金を使うのは11月の「感謝祭のシーズン」。REINAさんもブラックフライデーのセールでは欲しいものを決めておき、「当日は車の中で寝て、早朝、店の前に並んで買いに行く」というツワモノぶりを話してくれました。70〜80%OFFも普通だというので、それも当然かもしれません。